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2.Juli.2017

癌恐怖症と疾病恐怖症 医師からみたメンタルヘルス

疾病恐怖症の一種に、癌恐怖症があります
有名人が癌になって亡くなってしまうニュースはしょっちゅうあります
身内の方を癌で亡くしてしまうことも身近です

そうです
癌恐怖症は疾病恐怖症の中でも最もなりやすい症状です
実際に癌ではないのに、「癌にかかっているのでは?」「癌になったらどうしよう」
という不安に日常を支配されてしまうのが癌恐怖症です

強迫観念と結びついた癌恐怖症(疾病恐怖症)はさらに重症です
そして不安要素はニュースを見ても家族や親族を見ても、その材料は揃っていますよね
癌恐怖症は生活の質を奪い取ってしまいます
精神的に落ち込みますし、焦りますし、発狂したくなります
それにちょっとした体調が悪いときも、過度に敏感になってしまいます

神経が高まりますし、ストレスがひどくなります
気持ちも落ち着かなくなり、不安にさいなまれる現実で死んだほうがマシとさえ思います



癌恐怖症と診断していい患者さんはこれまで何人も僕は診てきました
癌恐怖症の方は検査をしまくります
あっちの病院で癌じゃないことがわかっても、検査の見落としを疑い、別の病院に行きます
どこも異常はないけれど、不安は消えない
これは神経症の一種です
すべての体調不良を癌のせいだと思ってしまうのですから

家族の忠告も届きませんし、何より本人が一番くるしいです
最近は、乳癌の見落としをきっかけに、若くして命を落とされた方が大きなニュースとなりました
癌恐怖症の方は一層心配になったことと思います


僕の患者さんはいくつもの神社でお祓いをしたり、
有名な霊媒師の方にお世話になってきたそうです
西洋医学に幻滅し(癌への不安を消してくれないため)、
スピリチュアルなものに救いを求め、その過程で自分が癌恐怖症だとわかってきたそうです

しかし向精神薬では癌恐怖症、疾病恐怖症を消すことができず、
僕のところにやってきました
自分が癌恐怖症や疾病恐怖症だと自覚した人は、
その原因を解決していくことができたら、症状が楽になっていくことができます

人には恐怖症にかかる歴史が必ずあります
特に癌に対しての恐怖が強い理由はその人生の中に組み込まれています
突発的になるわけではありません

強い執着を持っていることに気づくことが突破口になります
人は原因がわかると楽になる性質を持っています


ですが、自覚がない人は病院で検査をして癌じゃないことを確認して
ホッとしたり、逆に不安になったりします
キリがありません
精神的に病んでしまいますし、ストレスで自律神経の働きもおかしくなります

不安と恐怖が現実化してしまう恐れも出てきてしまいます
ストレスによる体調不良が続くと、
それが癌ではなくても不安が的中していると本人は思い込んでしまいます
この悪循環は断ち切らないと、老人になってから本格的に健康を害した時、
もっと生活の質が精神的に破壊されてしまいます


癌恐怖症の方の家族の方も巻き込むことがあります
本人は不安でたまらないのに、家族は理解してくれない苦しみもあります
さらに癌になったら? なっていたら?という強迫観念はストレスで強まります
どこまでも終わらない苦しみが、癌恐怖症です

気のし過ぎで片付けられる問題ではありません

まずできることはストレスを溜めない生活を心がけることです
そして「気づくこと」です
自覚が大事です
自分は癌恐怖症だとわかるというより、
癌恐怖症になった原因をはっきり知ることですね

そしてここからは有能な専門家の力を借りなければなりませんが、
潜在意識の刻み込まれた「認知の歪み」を根本解決することです
認知の歪みが恐怖症を悪化させます
ここでも気づくことが大事になります
頭の表面でわかるのではなく、決定的に自分が認知が歪んでいたことを、
感情的に悟ることです

そうなんです
悟りを開くぐらいに気づかないと、癌恐怖症や疾病恐怖症は
治りようがないものです

最後には癌になってもがたがた騒がないという覚悟も必要です
なってもならなくても関係ないという覚悟です
なったらもうしょうがない、それでも生きてやるという覚悟が自分を救います



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