不安障害

8.Juli.2016

心気症の恐怖 不安と健康と病気を考える

『病は気から』
これは完全にその通り
ブログにこれまで書いてきたように
不安やストレスは心のバランスを乱すだけでなく本当に病気にしてしまいます

機能的疾患が生じたり自律神経のバランスがストレスで乱れるだけでも
『生活の質』が低下していきます
実際に病気になったり器質的疾患になったりしたら
普通に生きるさえ難しくなります

体調を崩すと精神面も崩れる
いいことは一つもありません

内科医としてこんなことを言うのは何ですが…
ちなみに病気になってしまったら受け入れるしかありません
悩んでも始まりません
厳しいことを言うようですが悪循環を断ち切るのは割り切る力だけです
起きてしまったことをずっと悩むのは愚の骨頂です
落ち込んでもいいしショックを受けてもいい
未来に絶望してもいいけれどどこかで立ち上がらなければいけません

それが病気に打ち勝つ最大の方法です
もちろん治療は最善の方法でやるべき
しかし最初に精神的に乗り越えなければ打ち勝てなくなります

 

病気に対して過度に不安を感じつづけることはいけない
健康に気を使うことはぜひやってほしいです
でも『心気症』になるぐらいの病気への不安は逆効果です

僕のところにも『心気症』としか考えられない患者さんが来ます
『心気症』とは自らの身体の異変や症状に対して誤った解釈をしてしまい
病気にかかってしまっていると思いこんでしまうメンタル面の症状です
実際病気じゃないのに病気かもしれないと思いこむ不安の力は
僕らが説得して打ち消せるものじゃないです

不安障害の一種ですが心気症でいることが一番の病気になる近道だということを言っても
本人は納得しないんですね
いやいや本人も実は「気にすることはない」とよく知ってます
だけど不安が消えない
だから過大なストレスです
そのストレスが自律神経の働きを乱していく

内蔵にもストレスは負担をかけ
例えば胃潰瘍になってしまうと心気症ではなく「やっぱり病気やったんか!」となる
今まで気のせいだと思いたかったけれど
今度は実際になってしまったから自分の身体はやばいという不安がもっと強まる

『病は気から』が本物になってしまうわけです


心気症は認知の歪みから生じます
しかし不安という感情は
自分が歪んだ認知を持っているとわかったからと言ってなかなか消えてくれない
なぜなら人は生きていれば病気になるものだから
本人が病気になった時「不安はやっぱり当たるんだ」という変な成功体験と確信が生じちゃうからです

第三者が「心気症です」と言っても
本人からしたら的外れな指摘にしか思えないわけです
もしかしたら?という確立が1%でもある限り病気の不安は続いていきます

また例えば「私は胃に重大な疾患があるんじゃないかしら」という不安があるとしましょうか
もちろんそれは心気症のなせる思い込み

しかし常にお腹のことばかり意識し続けます
それも病的な意識を使って…
神経が過敏になりお腹のことしか考えられない
お腹がゴロッと鳴っただけで不安に感じてしまう

そんなことが続いていたらストレスで胃に負担が来ます
「やっぱり」という不安が大きくなりストレスも比例してひどくなる
ますます胃も負担が来る

そして胃潰瘍に実際になっていく
で病院に行く
病名を告げられる
疑惑が確信に変わる
まだ他に重大な疾患が隠されていないだろうか?
また不安になる
これを続けていきます…
 

いつも不安で胃がんを疑う
検査で異常がないと診断されても
医師から「安心して下さい、何ともありません」と言われても決して不安は消えない
「気になさらないで下さい、体に毒ですよ」と言われても反発するだけ

心気症の怖いところはそれで不安が収まったとします
それで安心して暮らせるのが普通だけど今度は別の体の異変を探しはじめてしまう
だからずっと病気不安が続いていきます…



僕も自律神経失調症だった者として心気症の方のお気持ちはよくわかります
 内科医のくせに風邪にかかりやすい不届き者でしたが
体調が悪いと器質的疾患があるせいだと不安に思っていたものです
「メンタルもやられているのにその上に病気になったら生きていけない、シャレにならん!」
なんて怯えていた時期があったから


内的なトラウマを無くしストレス源を処理し自律神経失調症が解決してから
そんな病気への不安が無くなりました
だからストレスや不安が健康を害し病気を生み出すことを
身を持って知っているつもりです
だけど今では「病気になってもそれがどうしたんだ、なってみせなよ、さあほら! 早く!」と
強気でいられています
だから本当に風邪すらひかなくなったんです

病気になってもいい覚悟…これは不安とは真逆です
それが身についたことは今後の人生にとって大きなプラスとなりました

どこで身についたかというと脳覚醒プログラムと神経症克服プログラムです
岩波先生の考え方はとても鋭く力強いものが多くてとても参考になりました
病気になっても不安があっても逆転の発想をして
「それがどうしたんだ、なってみせなよ、さあほら!」という考え方を教えてもらいました
無意識に叩き込んでくれました 

不安から逃げるのでもなく消そうとするのでもなく
不安を受け入れる覚悟と逆に立ち向かっていく勇気がすべての不安を無くしていく
この思考は生活の質を保っていく上で絶対に必要なことだと思います

病気への不安は僕らは生きている限り絶対に無くすことができない
だからどう病気への解釈を逆転させどういう態度を示すかが
これから病気に極力ならない一番の方法だと僕は思います

病は気から
絶対的な真実です


※カテゴリ別の目次


内科医の思う病気とストレスのこと

内科医の思う病気・疾患のルーツ分析、整理

内科医の思う自律神経失調症のこと

内科医の思う更年期障害のこと

内科医の思う不定愁訴のこと

内科医の思う疾病恐怖症のこと

内科医の思う岩波神経症克服プログラムのこと

内科医の思ううつ病のこと

内科医の思う心気症のこと

内科医の思う質のいい睡眠と不眠症と健康

内科医の思うトランス呼吸法のこと

内科医の思うく健康と病気と死ぬこと




 
 


sunshinering at 01:01|PermalinkComments(1)

17.Juni.2016

不安障害と更年期障害と更年期うつの患者さんの例

不安障害、更年期障害がひどく健康不安で苦しんできた患者さんがやってきました
これも健康とストレスと不安の関連を強く裏付けるケースですので
紹介したいと思います(プライバシーに最大限配慮して記述しています)


四十代のパートをやっている主婦の方でした
不整脈や過呼吸、頭痛、耳鳴りが出るようになり私のところに来ました

体調不良を感じてから食欲もみるみるなくなり何かの病気だと思いあちこちで検査をした所
なんにも異常なしと言われたそうです
つまり器質的疾患が発見されなかったということですね
不定愁訴の一種です

私は精神的なものだと思いました
もともと不安を感じやすく何に対しても必要以上に不安を感じて追い詰めてしまうため
不安障害だと思いました
さらに更年期障害が加わり
主婦業もパート業もいっぱいいっぱいになるぐらい体調がひどくなっていました

更年期に入ってホルモンバランスが崩れると特に機能的疾患がひどくなっていきます
自律神経も乱れるので更年期障害が酷くなりやすいのです 

旦那さんは理解してくれず夫婦仲も悪かったそうです
家庭内にストレスの元凶があるようでした
ギリギリで頑張っているその女性に対して
暴言を吐くなどし続け常に離婚を考えて生きてきたと言っていました

動けなくなって寝たきりの状態が増えても旦那さんは怠けているとしか思わないらしく
家に居ても体も心も休まらない最悪な環境にずっと居たようです



これでは更年期障害がひどくなるし自律神経失調症になるのも無理はないでしょう
不安は不安を呼び、ょっと身体に異変を感じただけで何かの病気ではないかと疑い
それもストレス源になってしまう…
疾病恐怖症、心気症と言われる症状も含んでますね 

離婚をしても経済的な不安があるので踏み切れませんし相当苦しい状況のようでした

四十代を超え自律神経のバランスが崩れている女性は特に注意をして下さい
更年期障害が人よりもきついものになりやすく
苦しい状況が続くとストレス過多で更年期うつになってしまうケースが非常に多いんです

それまで体調面が悪くなかった人でも更年期に入ると自分の体と心がままならなくなります
ご注意下さい! 


sunshinering at 22:21|PermalinkComments(0)

12.Juni.2016

不安を感じやすい人は自分でストレスと病気を吸い寄せてしまう

不安…
不安だと安心したいですよね
でも不安が慢性化すると安心がどんなものか忘れてしまうんです

健康を害したら毎日が不安になるし不安になったら健康を害していきます
これが今日のテーマです
 

僕はアダルトチルドレンだったからずっと漠然とした焦りや不安や孤独がずっとありました
父の厳格なしつけが原因です
父の前では不安が慢性化していたから父から離れていても安心がどんなものか忘れてしまいましたね

不安はいろいろな不安を吸い寄せてしまうのも身を持ってわかっています
砂鉄を吸い寄せる磁石が僕の心の底にはありました



健康問題もあてはまります
健康に不安を感じてしまった人はまだかかっていないのに病気の心配をします
自分で勝手に不安に感じてストレスを作っています
このストレスが非常に厄介で病気をじわじわ進行させていきます
器質的な疾患があったらそこを集中的に攻撃してきます
心気症と言われる症状までなってしまう人も多いです



僕の患者さんにこんな方がいました
プライバシーに配慮して書いていきます

家にいても何をしてもものすごく不安で息苦しく
健康なのに「病気になったらどうしよう」という意識が強い方でした
疾病恐怖症と言ってもいいくらいで
検査ではなんにも異常はないのに病気のことを不安がっていました

息苦しいと訴えてきたんですが器質的疾患がなかったのにそうなったのには理由があります
ストレスが酷いと人間は呼吸が浅くなり息苦しさを感じるようになります
もっと息を深く大きくゆったりすればよかったけれど
その不安がますます息を浅くしてしまったのだと思います

この息苦しさから「何かおおきな病気なのか?」という不安に取り憑かれ
もっとストレスが溜まっていったようです
本人だけが騒いでいてもご家族はみんな軽く見ていたようで
その孤独感もつらいと言っていました
ご家族からしたら何にも異常がないのだから「気のしすぎ」だと思うのも当然なんでしょう


でも僕が「気のせいですよ、安心して下さい」と言っても患者さんは納得しなかったでしょう
たくさんの医師に診てもらって僕のところに来たので
同じセリフは何度も言われているはず
僕はこの方が『不安障害』『不安神経症』だと思ったので心療内科を紹介しました

しかしいくら肉体的に異常が見当たらなくても不安でストレスばかり被っていたら
いずれ本当の病気になってしまうと思います
だからメンタル面から解決しなくてはいけません
心の迷いとストレスは身体の健康を蝕んでいきます
蝕まれたらメンタルはもっともろくなります

病気にかかるかもしれないという不安はその患者さんの人生で形作られたものです
彼の中で不安に思ってしまう原因が必ずあります
そこから処理していかないといつか本当の病気になってしまって
彼の不安は的中してしまうでしょう

病は気から

健康寿命を長くするためにもストレスに強いメンタル面を獲得することは肝心です
長生きできてもつらく苦しい疾患を抱えたりメンタル面の悩みがあったら
あんまり意味が無いと僕は思いますから


※カテゴリ別の目次


















sunshinering at 19:43|PermalinkComments(0)